人のモチベーションはアテになりません。
気が向いたときに本を読むのは良いことですが、週に1回は気が向く人もいれば、半年に1回しか気が向かないこともあります。
それだけ「気分」や「やる気」というのは信用に足りないものなのです。
そこで重要になってくるのが、読書を習慣化することです。
3日坊主とサヨナラする、読書習慣を身につける方法とコツについて解説します。
読書を習慣化することで得られるメリットとは?
多くの人が読書を習慣にしたいと考えています。しかし、なぜ習慣化すべきかについて明確な理由を持っている人は意外と少ないのが現実。
なにかを習慣づけるには、最初に簡単でもいいので目的を持つこと(メリットを知ること)が大切です。
さて、読書をすることで一体どんなメリットが得られるのでしょうか?
- 読書を習慣化するメリット
- ・教養が身につく
- ・会話のネタになる
- ・仕事で成果を上げられる
- ・自分の時間を持てるようになる
- ・友人や恋人と良い関係を築きやすい
- ・目標や夢を達成しやすくなる
ザッと挙げただけでもこれだけの効果が期待できます。
本を読む理由は人それぞれですが、本を読むことで得られるメリットは限りなく大きいといえるでしょう。
本を読むことを習慣づける方法とは?
さて、ここからは実際に読書を習慣づける方法を見ていきましょう。
本を読む習慣は、はじめのうちは自分で意識的に動かないといけません。
ですから習慣のスタート時は正直言ってツラく感じることもあるでしょう。
しかし、習慣というのは積み重ねていくことで「自然に、無意識に」続けられるようになります。
本を無意識に、楽しく読めるようにするのはどうすればいいのでしょうか?
習慣を身につけるために試したい方法とコツを、各ステップに分けてご紹介します。
- 習慣化のコツ
- ・自分の読みやすい本を見つける(合わない本はスグにやめる)
- ・3〜4冊、あらゆる場所に本を置いておく
- ・最初の1週間は毎日1分間だけ本を読む
- ・読む場所、読む時間を決める
- ・本を読むキッカケを自分のなかで設定する
自分に合わない本を読んでいませんか?
本を読むことに挫折する人に多いのが「自分に合わない本」を選んでしまうパターンです。
自分に合わない本とはどんな本でしょうか?さまざまありますが、大きく分けて3つあります。
- ・作家の文体が合わない
- ・背伸びをして本を選んでしまう
- ・自分に不必要な本、興味がない本を選んでしまう
このあと1つずつ解説していきますが、ここで伝えておきたい大切なことがあります。
それは「つまらないと思った本は、その場でやめる」ということです。
読書に慣れていない人ほど「せっかく買った本なんだから、最後まで読まなきゃ」と考えがちです。
しかし、そういったことを続けていては「読書=苦行」となってしまいます。
やがて脳が無意識的に「読書=害悪」と捉えてしまい、ますます読書習慣から遠ざかってしまいます。
ですから、本を読んでいて途中でつまらない・読めないと思ったらスグに他の本に変えて下さい。
もったいないと思うかもしれませんが、自分の嗜好がわかる貴重な機会を得たと思えば安いものです。
さて、ここからは自分に合わない本の見分け方・選び方を見ていきましょう。
作家の文体が合わない
これは特に小説をはじめとする作家先生の本に当てはまることです。
「文体が合わない」というのは、もっとわかりやすくいえば「フィーリング」です。
知り合いとの会話を思い浮かべてみるとわかりやすいでしょう。
会話をしていて「この人とはテンポが合うな」とか「この人とはなぜか喋りづらい」というのが誰にでもあるはずです。
こうした「合う・合わない」というのは、小説作品でも同じ。作家の書く文体が自分に合うか・合わないかというのは必ずあります。
つまり、誰にでも読みやすい小説というのはないのです。
読書家で数多くのベストセラーを持つ齋藤孝氏は著書『本をサクサク読む技術』で次のように語っています。
文豪であれ、流行作家であれ、それぞれに強烈な個性やクセがあります。世界観やスケール感も違うし、もちろん文体も違います。だからこそ世に出たわけで、当然、それぞれに合う・合わない読者もいるはずです。万人に好かれる人がいないように、万人に合う作家もいません。だから、自分に合う作家を見つけることが重要なのです。
自分に合わない作家の本の読もうとしても、それでは読書は習慣化できません。
ですから、いくつかパラパラと読んでみて「この人の文体はしっくりくる」という作家を見つけることが第一歩です。
背伸びをして本を選んでしまう
本を選ぶ時に「自分ならこのくらい読めるだろう」と思って買った本。家に帰って読んだらむずかしくて読めない。「こんなはずでは…!なぜだ!」と絶望する。
こんな経験をしたことがある人も多いと思います。
人は自分の知識や能力を意外と理解できていません。
「ちょっとくらいむずかしいくらいの方が読み応えがあるでしょ」
そう思って買ったのに、気づいたら本棚の隅で熟成状態になっている本はありませんか?
背伸びして本を選んでしまうというのも、挫折を呼びこむ大きな要因です。
厄介なのは本屋で本を選んでいるときの「やたらとモチベーションが高い自分」です。
本屋で本を選んでいると、ついついテンションが上ってむずかしい本を選びがちです。
一例をあげましょう。
世界史について書かれた『銃・病原菌・鉄』というベストセラー本があります。よく本屋で見かける本です。
非常に惹かれるタイトルですし、表紙デザインも秀逸です。なんとなく読みやすい印象を受けるかもしれません。
しかし、この本はある程度の世界史の基礎知識がないと絶対に読めません。必ず挫折します。
こういった本を読むためには、基礎となる入門レベルの本からはじめるのがベスト。
カッコつけてむずかしい本を買っても、結局待っているのは後悔しかありません。
まずは自分の知識レベル・読解レベルをしっかりと分析する。そして、カッコつけない。背伸びをしない。
読書の習慣はそこからはじまるといっても過言ではありません。
自分に不必要な本、興味がない本を選んでしまう
これは言うまでもありませんが、自分に必要のない本を読んでも読書は続きません。
また、興味が持てないジャンルの本も同様です。
話題のベストセラーだから、という理由だけで本を選ぶのはオススメしません。
いまの自分にとって必要な本、そして興味が持てる本を選びましょう。
3〜4冊、あらゆる場所に本を置いておく
読書を習慣化するにはいくつか方法がありますが、もっとも物理的に効果があるのは「目に見えるところに本を置いておく」というやり方です。
本を読むことが生活のなかで定着していないうちは本の存在すら忘れてしまいます。
ですから、自分の生活の範囲内で目に見えるところに本を置いておくことが大切です。
まずは自分が読みたい本を3〜4冊用意して下さい。そして、それを生活のあらゆる場所に置いておく。これだけです。
- ・リビングのソファ
- ・トイレのなか
- ・デスクの上
- ・バッグのなか
- ・洗面所
こうすることで否応なしに本が目に入るので、パラパラと本をめくるキッカケができます。
「そんないい加減な読み方で効果があるの?」
と思われるかもしれません。
このあと説明しますが、習慣をつくるには「1日1分間」、もっといえば「1日30秒」でも本に触れる機会をつくることが大切です。
最初の1週間は毎日1分間だけ本を読む
本を読めずに挫折してしまう人にはある傾向があります。それは「意気込んでしまうこと」です。
もっとわかりやすくいえば「さあ、いまから本を読むぞ!」などと気合いを入れてしまうことです。
これは一見イイコトに見えますが、反対にいえば「スイッチが入らないと本が読めない」ということでもあります。
ですから、大切なことはちょっとした時間にちょっとだけ本を開いてみるということです。
習慣というのは即日効果が出るものではありません。一定期間続けて、はじめて習慣となるのです。
ですから読書を始めた最初の1週間は毎日1分間だけ本を読むことを目標にしてください。
それも難しいという人は、本をパラパラめくる(目次だけ読んでみるとか)でかまいません。
なにかを習慣づけるには、脳に「これは毎日の当たり前の行動だ」と理解させる必要があります。
ですから、毎日わずかな時間でもいいので本に触れる機会をつくってください。
「読書スイッチ」を自分の生活の中に仕掛ける
習慣とは、言いかえると”無意識のルーティーン”です。つまり、自分で意識をしないでも体が勝手に動いている状態ともいえます。
そのためには、自分でルールを決めて下さい。ルールを決めて、それを繰り返すことによって「読書スイッチ」を生活のなかに組み込みましょう。
人は寝る前に必ず歯を磨きます。これは人によって差はあれど、無意識に行なっている習慣です。
読書も同じように「◯◯の後には本を読む」「◯◯をする前には本を読む」ということを習慣化させることが重要です。
たとえば、
- ・朝ご飯を食べたあとに1分間だけ読書
- ・通勤電車の待ち時間で読書
- ・会社に着いたらデスクでパラパラと本を読む
- ・洗濯物を干し終わったら読書
こういったように、自分の中で流れをつくってしまうのです。すると、「◯◯の行動=読書」というルールを脳が勝手につくってくれます。
これは習慣化には欠かせないコツです。自分の生活を振り返ってみて読書を挟み込めるタイミングを考えてみてください。
読む場所、読む時間を決める
これは「読書スイッチ」の考え方に近いのですが、習慣化に自信がない人は読む場所・読む時間を決めてしまいましょう。
人間なんて気まぐれです。気分に任せていてはなかなか本を読む習慣はつくれません。
さきほどから説明しているとおり、なにかを習慣づけるためには「これは毎日の当たり前の行動だよ」と脳に理解させる必要があります。
ですから「読む場所・読む時間」を最初のうちはルーティーンで一定にすることをオススメします。
たとえば、
- ・毎朝7時に机で
- ・お昼休みの12:30に公園のベンチで
- ・就寝前の23:00にベッドで
仕事や生活のサイクルが一定ではないと取り組むのがむずかしいかもしれませんが、一度ルールを決めてしまうと意外と簡単に取り組むことができます。
読書の場所と時間を決めることで、ほかの生活習慣にも良い影響が出ることもあります。
読書習慣を身につける方法【まとめ】
それでは最後に、あらためて読書の習慣を身につける方法をおさらいしましょう。
- ・自分の読みやすい本を見つける(合わない本はスグにやめる)
- ・3〜4冊、あらゆる場所に本を置いておく
- ・最初の1週間は毎日1分間だけ本を読む
- ・読む場所、読む時間を決める
最初の1週間を乗り越えて「これなら続くかも」と思えたら、少しずつ本の読み方を変えていきましょう。
時間や場所を自分の好きなタイミングに変えたり、読む本のジャンルを変えてみるのです。
すると、さらに本を楽しめるようになるので良いサイクルが生まれます。
まずは毎日1分間、気軽な気持ちで読書習慣をはじめてみましょう。