アメリカの政治は共和党と民主党に分かれていますが、民主党はわかりやすくいえば「弱者救済」的な立場に立っています。
オバマ大統領は民主党ですが、この本を読んで「なるほど、だからオバマさんは民主党なんだな」というのがよくわかりました。
というわけで今回は、読みやすい洋書の伝記 “The Story of Barack Obama” を読んだ感想をレビューします。
ちなみに、この本は Kindle Unlimitedで読みました。読み放題なのでお得に洋書が読めます。
黒人差別と実父の悲しい死
オバマはアメリカ初の黒人大統領として知られています。
彼の父親はケニア出身。オバマの親は離婚しているので、実父とは別々に暮らしていました。
しかし、父親とは仲がよく、ケニアに遊びに行ったりもしていました。ただ、そんな父を交通事故で亡くしてしまうという悲しい過去がオバマにはあります。
Then, Barack received a letter from his father.
He invited Barack to come visit him in Kenya.
Barack was excited. He had a whole family in Kenya that he wanted to meet.
He would learn more about his father and himself.
But then, a terrible thing happened. Barack’s father died in a car accident.
ここ最近は、”Black Lives Matter”を皮切りに黒人差別問題が再燃していますが、オバマも学生のころから黒人差別でつらい思いをしてきました。
He played on his high school team, and he was good.
Sometimes when Barry went to games at other schools, people said hurtful things to him because of the color of his skin.
Barry wanted to understand why skin color mattered so much.
He began to study the lives of people who had skin like his.
He read books by black writers like James Baldwin and Malcolm X.
The more he learned about the types of injustice people faced because of their skin color, the more he wanted to fight against it.
※Barry = バラクの愛称
学生時代にバスケットボールをプレーしていたオバマは、試合で相手チームから肌の色のことで心無い言葉をかけられていました。
その経験から、彼はなぜ肌の色で差別が起きるのか勉強し、そして黒人差別と戦いたいと強く思うようになったのです。
いまのアメリカの状況を見てると、初の黒人大統領になったオバマがいかに凄いか、そしてどれほど壮絶な困難を乗り越えてその地位にたどり着いたのだろうと考えてしまいます。
学生のころから地域貢献に積極的
オバマは学生時代から地域貢献に積極的で、コロンビア大学卒業後はシカゴでコミュニティ・オーガナイザーとして働いていました。
As a community organizer, Barack brought people together to solve problems in their neighborhoods.
Barack worked with churches to do things like create after-school programs for children.
He created training programs to help people find jobs and support their families.
But it didn’t feel like enough. Barack saw that laws had to change in order for people to get the things they needed.
He decided to go to law school to help people fight for the justice they deserved.
教会で子どもたちのために放課後プログラムを作ったり、仕事探しのためのトレーニングプログラムを作ったりしていました。
僕たちは日本の政治家のイメージが強いせいで、どうしても「政治家=悪者」みたいな印象があると思います(もちろん、優れた人もいるとは思いますが)。
「どんなに良いことを主張している政治家でも、どうせ裏があるんだろう」と思ってしまいますが、オバマのこういったエピソードを目にすると「ああ、この人は根っから優しい人なんだな」と思わされます。
それを裏付けるように、オバマは国民皆保険制度をアメリカに取り入れる医療保険制度改革(Affordable Care Act.)を2010年に行っています。
In 2010, Barack signed a law called the Affordable Care Act.
This law would help people be able to go to doctors and hospitals when they were sick.
The program would cost the government a lot of money.
これは日本のような国民保険制度ではなく、厳密には国民を民間の保険に入るように促すための制度です。
健康保険を購入していない個人には確定申告時に罰金(追加税)を科すことで、保険に入ることを半強制した制度になります。
これは政府が国民に関与する「大きな政府」としての動きなので、このあたりにオバマが持つ根っこのやさしさが出てるんじゃないかと思いました。
この本はオバマの生い立ちから学生時代、さらには大統領になってからの功績などがわかりやすい英語で書かれています。
アメリカの歴史、オバマの半生を知りたい人には強くおすすめしたい1冊です。